Scarsdale
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ESLプログラムとバイリンガル教育

image-blackborad外国生まれ、あるいは米国で生まれた子供でも家庭での言語が英語でないために英語の力が十分でない生徒は、LEPスチューデント(
Students with Limited English Proficiency)と呼ばれます。LEPスチューデントの英語指導にはESL(English as a Seconds Language)とバイリンガル教育(2ヶ国語併用教育)があります。

バイリンガル教育

バイリンガル教育は、アメリカの公立小学校に英語を常用語としない子供たちの数が増えてきた1965年に初等中等教育法「タイトル・1」という形式で連邦政府から援助がでたのが、きっかけで1968年には二ヶ国語併用教育条例が制定され、新しいプログラムとして発足しました。この時のバイリンガル教育の目的は、教育は英語で行うことを基本として、基礎科目の指導に英語と子供たちの母国語の二ヶ国語を用いるというもので、その運営は州の任意に任されていました。しかし1974年、中国人ラウ氏がおこした訴訟事件(英語の分からない子供たちに英語を母国語としている子供と同じようなカリキュラムを与えるのは教育の機会均等の精神に反するという訴訟)によって、このプログラムが義務化されることとなりました。ただし、連邦政府教育省には施行を強制する権限はありませんので、実際には、州、各地の教育省の方針に委ねられています。

指導法

1)Maintenace:全ての科目を両国語で教える。
2)
Transitional:英語で行われている授業についていけるようになるまでの間、母国語で助けながら英語やその他の科目を教えます。それには、早く英語が正しく読めるようになるためのPhonics(音声学)の指導と読んで意味が分かるようにするための語彙をふやす指導があり、日本人の受けるバイリンガル教育はほとんどこちらに属しています。この場合子供たちは、普通授業をうけながら1日のうちの一定時間をESLプログラムとバイリンガル教師の補助レッスンに過ごします。英語はアメリカの「オフィッシャル・ラングエージ」であるとして、バイリンガル教育はアメリカ社会の主流への道を遅れさせるとして、州によってはこのプログラムを殆ど用いなくなっている所もあります。

ESLプログラム


ESLは、英語を母国語としない子供たちの特別指導のために1960年代から公立学校で広範に用いられています。ニューヨーク州法は学校にLEPスチューデントが1人でもいればESLプログラムを採用すること、バイリンガル教育については、同じ母国語を話すLEPスチューエントが1学年に20人以下の場合は、その地区の方針に委ねるとしています。教師は専門のESL教師が学校に常勤している所もあれば、人数の関係で一人が学区内の幾つかの学校を回ったり、特定の学校に生徒を集めてまとめて事業を行っている地域もあります。スカースデールには従来短期滞在の外国人の生徒が多いので、ESL教育にはかなり力を注いでいて、内容も充実したものとなっています。 ESLのレベル分け: LEPスチーュデントはまず入学と同時に、或いはおそくとも1週間以内にESL教師と面接します。この際、言語評価テストを受け、その結果でESLのどのレベルに入るかがきめられます。レベルは主として次の3段階に分けられています。

レベル1(初級):まったく、あるいはほとんど英語の力がない生徒
レベル2(中級):基礎的な語彙や一定の伝達能力はあるが、十分理解するまでには至っていない者
レベル3(上級):話しや聞き取りに問題はないが、正確な読み書きに助けを必要とする者

ESLの時間

1日に受けるESLの時間は学年によって違います。小学校では一日に30分から1時間、中、高校学校では初期の段階は特別学科(音楽、体育、図工)や数学の授業をのぞいて、ほとんど1日中をESLのクラスで過ごします。クラスの人数は5人−8人前後。 子供たちはその上達の度合いによって口頭、筆記テストが施され、能力に応じて初級から中級、上級へとすすんでいきます。終了の場合は前述のテストや学校のリーディングテスト、およびESL教師、担任教師の話し合いなどの結果できまります。

ESLを受ける期間は年齢や生徒の能力によって大きな違いがあり、完全に英語を駆使するには5〜7年はかかるという見解もありますが、実際には小学校のESLは約2〜3年で終了し、その後補習が必要な場合は、リソ−スル−ムやスキル教師の補足指導を受けます。ESLでは文法、語彙、音声、文章構成などを別個に学習させるわけではなく、学校、家庭など子供の身近なものを教材に使って自然に英語に親しませていきます。初期の段階では、自己紹介、あいさつの仕方、週や月、季節の名前、色や形、数の数え方、体の部分や学校でよく使うものの名前などを覚えさせることから始め、子供の理解力に応じて、早く正規の授業についていけるようクラスのカリキュラム内容と平行した指導を行います。


ESL教師のAさんにいただいた両親への提案:

1) 英語の世界にいるからといって何もしないで英語が上達するわけではありません。学校ではお子様の迅速な英語習得に最善の努力をしますが、新しい言葉や文化に早く親しませる手段として家庭でも両親にできることがあります。
  • 1日のうち英語だけを話す一定の時間を作る
  • 子供に学校でのできごとを説明させる
  • 英語のTVを子供と一緒に見てそれについて話し合う
  • アメリカの新聞、雑誌、本などを一緒に読んでそれについて話しあう
  • 両親がボランティアとして学校の活動に参加したりして新しくできた共通の話題を子供と分かち合う
  • 図書館を利用して子供に英語の本やテープを借りさせる
    子供に本を読んであげる
  • 旅行へ連れていったり、近くの名所旧跡を訪れたりしてそれについて話しあう。
2)外国語習得には忍耐が必要です。日本でよくいわれているような「子供は2、3か月もたてば英語がぺらぺらになる」などということは、神話にすぎません。1日1日の積み重ねを大切にしましょう

3)子供がしゃべりたがらない時はむりじいをしてはいけません。一言でも英語が出れば、そのつど誉めて、誉めながらのばしてあてましょう。

4)少し英語が分かってきた子供には、忘れ物や宿題が分からなかったことなど、自分で説明をさせるようにしましょう。親が手紙を書くとそのよい機会が失われます。

5)アメリカ人のお友達を作るようにしむけましょう。そのためにはまず親どうしのアレンジが必要です。努力のいることではありますが、相手からのさそいかけを待っていないで、こちらから試してみましょう。1回や2回相手の都合がつかなくても、ひるまないで、数多くあたってみて下さい。カブスカウト(ボーイスカウトの前身)やブラウニ−(ガ−ルスカートの前身)、各種スポーツ活動への参加も友達作りの恰好の機会となります。

6)アメリカ人の英語と日本語は切り離して使うように教えて下さい。チャンポンの会話はしないように。日本語に訳す場合は短い文章を少しずつ訳するのではなく、まずそのセクションを全部読んで全体の意味を掴むようにして下さい。

7)子供の知能と情緒の健全な発展のためには家庭で日本語で自分の気持ちや考えを話すということも大切です。

8)最初の3か月が過ぎた頃が子供にとって一番辛い時期です。疲れがひどかったり、イライラしたりしますが、叱らないでやさしくうけとめて上げて下さい。

9)短期滞在でも子供の背中から荷物をおろし、落ち着いて勉強し、友達を作れるような環境を作ってあげて下さい。帰国のことはしばらく忘れて。

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